第175回 算数『「中学受験算数」のつまずき、どうしよう?!?』
解 答・解 説


福朗君;

問1は数が大きくて、面倒そうだから、問3から始めていこう。
まず8を小さい数から割って、約数をみつけていくよ。
8÷1=8
ということは、8÷8=1
つまり、8には1と8の約数がある。
8÷2=4、同じように8には2と4の約数があることがわかる。
約数は1、2、4,8だから4個ある。(問題3 答え4個)
   
問2も同じように考えよう。
36÷1=36
36÷2=18
36÷3=12
36÷4=9
36÷6=6
ペアになる数を下のように書いておくと、モレが防げるよ。
 1     2    3    4    6
36    18   12    9(問題2 答え9個)

問1もまた、1から順に割っていけばいいんだけど‥時間がかかりすぎるから無理だなあ。
やめておこう。

福子さん;

私は塾に行ってるから、やり方を知っているから、問1から解いていくわ。
素数(約数が2つの数)で小さい順に割っていくの。
5400÷2=2700
2700÷2=1350
順番に書いていくと場所を取るから、筆算を下につないでいくと便利。

2)5400
2 )2700
2 )1350
3 )  675
3 )  225
3 )    75
5 )    25
        5

5400=2×2×2×3×3×3×5×5
2を3個かけるから(3+1)個、3も3個かけるから、(3+1)個、5は2個かけるから、(2+1)個
だから、

(3+1)×(3+1)×(2+1)
=4×4×3
=48(問題1 答え48個)
    
後も同じやり方で解けるわ。簡単よ!

問2

2 )36
2 )18
3 )  9
     3

36=2×2×3×3
(2+1)×(2+1)=3×3=9 (問題2 答え9個)

問3も同じ。
8=2×2×2
3+1=4(問題3 答え4個)

渡辺先生;

二人とも答えは正解です。でも福子さんに質問します。
問2でいうと、36=2×2×3×3
どうして(2+1)×(2+1)とするのかな。理由をおしえてください。

福子さん; 理由はわかりません。でも、塾の復習をやっている時に、「これだけは覚えておかなくちゃいけない!」ってママに厳しく言われたから。


実はこの会話の中に、算数の苦手を解決する対策がひそんでいるのです。
【理解を伴わない丸暗記はまずい!】
「覚えちゃえばいいんですよ。私も大学受験でそうしてきましたから。」「やって、やって、やりこめばいいんですよ。練習量の勝負でしょ。」「問題1は高校1年の姉娘の学校の問題集にありました。姉はそうなるんだ、と言って高得点を取っていましたよ。」
大学受験に強かった親御さんからよく出ることばです。けれど、中学受験算数が伸び悩んでしまう一つの原因に、考え方がしっかりしていないことが挙げられます。暗記すると、確かに毎回の塾の範囲ありのテストは得点源になります。上のクラスに上がったり、毎回の偏差値がよくなって一時的にはモチベーションがあがります。でも、ある日突然のように急降下してしまうことがあります。
暗記が飽和量に達した時。考え方を利用する応用問題に直面する時。そして、秋口に総合問題の過去問や模試に当たる時。
暗記することを学習、と勘違いすると、マイナス面がいくつか出てきます。
【1】思考する姿勢が身に付かない。受動的な勉強姿勢しか身につかない。
【2】考えてわかるようにしていかないと、モチベーションが落ちて自信を失ってしまう。
中学受験算数は、数学的思考法の入り口です。
具体的なことを通じて、考える、わかる喜びを体験していく科目です。

渡辺先生; では、二人に考えてもらうよ!
問題2の36の約数から考えよう。
福子さんが書いたように36=2×2×3×3こんな表を書いて縦と横の組み合わせを考えよう。



福朗君; あ、わかった!
福子さん; 2が入る約数は2と2×2の4の二通りあるけど、1も入れるから(2+1)で3こ、3も3、9に1を足して3個、3個と3個のかけあわせた組み合わせだから、9通りできるんだ!
8も2×2×2だから、2、4、8の3個に1を加えて4なのね!

中学受験をする親御さん、目先のテストの結果のみに一喜一憂して中身を見失うことなく、焦らず取り組んで下さいね。
このチャンスにしか味わえない親と子の成長物語を生きてくださいね!
閉じる