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ふくろう博士TOP > ふくろう博士のe講座 > 2004年度のe-講座 > 第36回 国語『ちょっと一息:ing.先生のこだわり談話室』

ふくろう博士のe-講座
第36回  国語 『ちょっと一息:ing.先生のこだわり談話室』
≫本 文 ≫宿  題

本文

ある日、授業の後でお茶を飲んでいる時、ふと七子ちゃんが考えこんだ様子で言った。
「先生、七転び八起きってどういうこと?」
何度転んでも起き上がる。つまり人生どんなに失敗しても挫折しても諦めてはいけない、希望を持ってガンバレという励ましをこめた慣用句であることは、たった今授業で確認したばかりだ。七子ちゃんは続けた。
「だって7回転んだのなら、7回起き上がればすむでしょ。8回目はどこで起きたらいいの?」
すると、コタツで本を読んでいた弟の八郎君がすかさず答えた。
「そんなの簡単じゃん。起き上がるところから数えるんだよ。最初は寝てた。易しい、易しい!」
「あんたは算数のやりすぎ。頭が植木算なのよ! 最初は寝てたのなら、一寝一起き七転び七起きじゃない!」
七子ちゃんもなかなかの理屈屋だ。
――そうだよね。考えてみると、確かに七子ちゃんの言う通り、おかしいね。だけど、七転び七起きってのもなんだか落ち着かないし……

「あのォ、先生、こう考えたらどうかしら」
キッチンからお母さんが顔を出した。
「八って数字は昔から日本人に好まれていた。富士山の裾野に似て末広がりの縁起のいい数ということから、七起きより語呂もいいし七転び八起きと……」
「八が縁起いいなんて嘘だ。四苦八苦ってのもある……」
と八郎君はふくれる。
「わたしは転ぶだけなんてイヤだァ」
と七子ちゃんも口をとがらした。
「七転八倒(しちてんばっとう)なんてもっとヒドイぜ!」
「言えてる! 八方美人、八方ふさがり、八つ当たり、八岐大蛇(やまたのおろち)に熊さん八つぁん……考えてみると八ってロクなのがないわね」
「調子に乗るな!」

――まあまあ、落ち着いて。とにかく七や八を使った言葉ってたくさんあるよね。たとえば、こんな歌は知ってる?
七重八重(ななえやえ)花は咲けども山吹の実のひとつだに無きぞ悲しき
「太田道灌(おおたどうかん)ですね」
とお母さんがほほえむ。
――ええ、道灌の歌ではないけれど深い関係はあります。その七重八重を考えてみると、べつに花びらが七枚八枚の山吹という意味じゃなくて、花びらがたくさん重なっているってことを言いたいんだね。だから、七転び八起きみたいな言葉も、回数が多いことを表してるだけで、あまり数字そのものにはこだわらないほうがいいと思うよ
「ふーん、なんかつまんねえの」
「日本人てあまり頭が論理的じゃないのかしら……」
「そうだよな。だいたい、人一倍努力するなんてのもおかしいぜ。一倍ならひとと同じじゃん」
「ひとまわり大きいなんて言い方も、すごいアバウト!」
「それに、だまされたと思ってやってみろって言われると、オレ頭にくるんだよな。だまされたとわかってりゃやる気しねえし!」
「それを言ったら、死んだ気になってがんばれってのも変! 死んだ気になったら力なんかわいてこないもの」
「いくらでもあるな。鼻をつままれてもわからない真っ暗闇なんていうけど、いくら暗くたって鼻をつままれたことくらいわかるわい!」
――ハハハ……。二人ともけっこうこだわるね。だけど、日本語は非論理的とばかりは言えないよ。例えば八方ふさがりとか八方美人の八はちゃんと八方位からきてるし、四苦八苦も仏教の教えで、人生の苦しみを四つとか八つに分けてそれぞれに名前がついているんだよ。それから、四六時中っていう言葉があるよね。あれももとは二六時中。昔は1日を12等分して時を刻んでいたことに由来していて、2×6=12で一日中とか常にという意味で使っていたの。それが1日を24時間に数えるようになったから、4×6=24で四六時中に変化したというわけ。ね、けっこう理屈っぽいでしょ?
「だったら、七転び八起きだってちゃんと説明してほしい!」
そのとき、隣の部屋との境の襖(ふすま)が開いて、珍しく早く帰っていたお父さんが姿を現した。
「ずいぶんにぎやかだね。さっきから隣で聞いてたけど、こんなのはどうだろう。はじめ七転八倒という言葉ができた。七回転んで八回倒れる……つまり踏んだり蹴ったりだね。そこで誰かが、そんなのはあまりに救いがない、転んでも倒れても起き上がるぞという希望をこめて、七転び七起き八倒れ八起きって言い出したのだ。みんながそいつはいい!……と賛成し、言い慣わすようになったものの長過ぎて舌をかむヤツが多い。で、いつのまにか最初と最後だけとって、七転び八起きと言うようになったわけさ」
キッチンで何か物が落ちる音がして、見るとお母さんがエプロンで口を押さえて笑いをこらえている。
だが、七子ちゃんと八郎君はにこりともしないで、しばらくのあいだ言葉を失っていた。やがて七子ちゃんがつぶやくように言った。
「パパってすごい……!」
すっかり暗くなった帰り道、夜空を見上げながらing.先生もこだわっていた。
……初め起きるところから数えるという八郎説も捨てがたいな。たとえば生まれて初めてつまずいて、起き上がれないでいる人がいるとする。そんな人には、こう言って励ますのだ。
「きみは今、絶望して自分には起き上がる力なんかないと思いこんでいるね。だけど、覚えてはいないだろうけれど、きみが生まれてまだまもないころ、誰の力も借りずに一人で立ち上がった時があったのだよ。だから今起き上がれば一転び二起きになる。これから先、何度転んでも思い出してほしい。人生は七転び八起き、自分には必ず起き上がれる力があるのだということを……」

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